横浜のサグラダファミリア

我が家は輸入住宅です。完全無垢の木材を使って建てるオーストリアのハウスメーカー(自然の住まい)にお願いしました。日本ではスウェーデンなどの北欧やアメリカの輸入住宅が有名ですが、ちょっと珍しいヨーロッパのオーストリアのお家なんです。(よく間違えられますが、南半球のオーストラリアじゃないですよ😁)

ハウスメーカーの社長さんはもちろんオーストリアの方。大きな会社ではありませんから、社長さんが自ら相談に乗ってくださいます。当時、社長さんとお話していて、私達日本人とヨーロッパの方と家の考え方について大きな違いが一つあることを知りました。家を建てる時、私達日本人の大半は「完成=全てが揃う」って、当然思いますよね?だから「引き渡し時には内装も家具も全て揃ってる」って。もちろん私達夫婦もそうでした。でも、ヨーロッパの方は違うんです。家は一生住むもの。つまり「一生かけて完成させていくもの」。もっと言うと「二代三代受け継ぐもの」なんです。

お買い物をする時、普通は予算があります。それは大きなお買い物になればなるほどきっちりと。家を建てるなんて、一生に一度あるかの大きな大きなお買い物です。だからこそ、「完成」させるために予算を捻出しますよね。私達夫婦が提示した家に準備できる「予算」。それはもちろん、全て(=内装も家具も外構も庭も)を揃えるための金額・・・のつもりでした。

しかし、社長さんは違うんです。「最初に準備できる予算は、後で絶対に変更のできないところに全部使いなさい」と言われるんです。つまり、住みながらでも後からどうにでもできる部分は、これからお金が貯まったら少しずつ手を加えていけば良いという考え方。生まれも育ちも血統も正真正銘純粋培養日本人の私達には、目から鱗の考え方でした。

要するに社長さんの主張としては、「後から絶対に変えられない『広さ』をできるだけ取った方が良い」ということなのです。可能な限り広い家にしろ、ってことなんですよね。思いもよらない提案にとても驚きましたが、そこは割と柔軟な私達。扉がなくても、部屋の仕切りがなくても、天井がなくても(笑)、なんとかなるか、と社長さんの提案を全面的に受け入れました。(後で知りましたが、この広さの提案、施主さんで受け入れた人、他にいないみたいです(大爆笑)😁)

まあ、それが悲劇の始まり・・・というか、喜劇の始まりと言いますか。。。

予算ぎりぎり目一杯広さを採ったものですから、そのために削られた場所。
・キッチン、玄関、トイレのテラコッタタイル貼り
・家中の漆喰での壁塗り
・部屋の仕切り
・部屋の扉
・2階の洗面とトイレ(あっ、1階にはつきましたよ!)
・2階の天井(もちろん屋根はあります😆)
・キッチンの戸棚

これ、読んでるだけでも若干コメディですよね?(笑)これだけ削られると、準備してもらえるのは、家という箱と最低限の設備のみになるんですよ😁。かと言って、キッチン、玄関、トイレのテラコッタタイルは絶対貼らないとダメ。大工さんには「タイル貼らないとキッチン入れられません」とか言われているし。。。なのに、削除対象(爆笑)。

ということで。キッチン、玄関、トイレのタイル貼り。頑張りましたよ〜、夫婦力を合わせて(大喧嘩しながら😁)。だってね、私達昼間働いているんですよ。普通に会社員として東京まで通勤して。主人なんて帰ってくるの普通の人より遅い。それなのに・・・。帰ってきてから、車で現場に出発。そして作業は夜中から。。。😱夜中に工事用のライト照らしてせっせ、せっせとタイル貼り。土日はもちろん朝早くから。それぞれの友人や知り合いが入れ替わりで手伝いに来てくれて。新居のタイル貼りなんてかなり珍しい話だから1回だけならやってみたいっていう人、結構いるんですよね(笑)。でもそのお気持ちが、当時の私達にはありがたく本当に助かりました。

その後、引っ越しギリギリでキッチンは入りましたが、他の部分は未完成・・・。のまま引っ越しました(笑)。普通は有り得ませんが、社長さん、大工さんとは家族みたいな信頼関係がありましたので、引越し後、鍵を預けて工事を進めました。家の中の壁に至っては、住みながら主人がほぼ一人で塗り上げた、という(笑)。それもこれも、今となっては(二度とやりたくない)良い思い出です😁(苦笑)。

キッチン

そんなこんなで、引っ越し前から近所中でかなりの有名人になり、引っ越し後には初めましてのご近所さん達から「是非、家の中を見せてもらいたい」と言われ、ハウスメーカー主催でもないのになぜか「勝手に内覧会」を実施しました😂。しかも、当時目一杯予算を使い切った私達は家具はもちろんのこと、カーテンを買うお金もなくなり、当分の間なんと梱包用のプリプチを窓に貼り付けて生活しておりました(爆笑)。あ〜、懐かしいなぁ。あのプチプチ、結構役に立つんですよ。どうぞ皆様良かったら、是非やってみてください😁!(笑)

いやー、改めて書いててもかなりのコメディですね♬

だだっ広い何もない家は小さなゆうとにこには絶好の遊び場でした♬

こんな新居に越した私達も既に15年が経過しました。もはや新居でも新築でもない。普通はそろそろ色々なところにガタがきて手を加えなければいけない時期なんです。しかしそこは、さすがヨーロッパの家。100年も200年も住む前提の作りですので、ガタはほとんどきていません。この15年、お金が貯まる度に未完成の家に少しずつ少しずつ手を加え、それなりに進んではおります(牛歩のように)。が、未だ完成には至っておりません😲(爆笑)。

ゆうくんにとっては、窓の上までも遊び場
言うなれば、備え付けのキャットタワー(笑)

何年たっても出来上がらない我が家について。我が弟がある年、冗談交じりにこう言いました。「こりゃ、横浜のサグラダファミリア(✴︎注)だね。きっと100年経っても出来上がらないよ😁(笑)」と。あまりにも抜群の表現で、当時みんなで大爆笑しました。そんな弟も数年前に結婚し、立派に一戸建てを新築しました。堅実な彼はもちろん日本のハウスメーカーで庭まで完全に仕上がった家を建て、完璧に家具もカーテンも取り揃えておられます👍(笑)。

さてさて、愛すべき「横浜のサグラダファミリア」。
一体いつになったら完成の日を迎えることができるのでしょうか?(笑)
どうぞ、乞うご期待!

サグラダファミリア
(出展:Sagrada Familia 公式HP

(✴︎注)建築家アントニ・ガウディが生涯をかけて取り組み、1882年から139年経った今なお建設中の未完成のスペイン・バルセロナの大聖堂。完成まで300年はかかると言われていたが、2019年に工期が大幅に短縮され2026年に完成予定と発表された。


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