涌井先生!

昨日は年に1度フランスから来日するペリュション先生の製菓講習会の日でした。講習が始まり1時間くらいたった時でしょうか、私の携帯が鳴りました。講習の邪魔にならないように静かに携帯に出ると、女性の声で「佐伯さんですか?」。「誰かしら?」と思いながら「はい・・・」と応えると、とびっきり明るい声で「ゆみちゃ〜ん、涌井です〜」と。なんとなんとなんと!、私の大好きな大好きな涌井三枝子先生からの電話だったのです!

涌井三枝子先生

涌井三枝子先生

涌井三枝子先生は、大阪にある「ワクイバレエ団」の代表者であり「ワクイバレエ教室」の主宰者。バレエ業界ではとても有名な方です。数々のプロのバレリーナ、タカラジェンヌ、劇団四季の劇団員などを世に排出され、長きに渡り多数のプロダンサーを育てられている偉大な先生です。自分の生徒達を世界中の有名バレエ学校へ留学させる為に自ら様々な国に出向き、教え子達を入学させる約束を直接取り付けてくる強者です。しかも、先生は関西弁しか話せない・・・。そう、先生の入学交渉は通訳なしの関西弁のみなんです(笑)!!本当に凄過ぎます。。。もはや、神です。そんな通常ならお会いするのも難しいであろう大先生に、私はかつてバレエを教わっていました。

 

まだ神戸に住んでいた頃。私はあるバレエ教室に通うことを決めました。子供の頃にバレエやダンスの経験があるわけでもなく、本気の初心者。しかも体はカッチカチに固く、股関節も開かない。そんな私が意を決して大人からバレエを始めたのです。いくつかのバレエ教室に見学に行き、最後にたどり着いたその教室。入った瞬間に他の教室とは違う「熱気」と「パワー」と「迫力」を感じ、何だかその様子に吸い込まれていきそうだったのを今でも覚えています。それでいて、レッスンの最初と最後には各自がまるで舞台に立っているかのようにエレガントなポーズできちんとご挨拶をするのです。当時、たくさんの教室を見てどこに通うか迷っていたはずなのに、入った瞬間にその教室に通うことを決心していました。

それが「ワクイバレエ教室」と「涌井三枝子先生」との出会いです。

涌井先生はパワフルでみなぎる熱気とオーラをお持ちの方ですが、小柄で笑顔がキュートなとても可愛らしい方。誰にでも気さくで、初めましての相手にも寂しい思いをさせない、太陽のように明るい方なんです。普段はフワフワ女性らしくて可愛らしいのに、ひとたびバレエのことになると一変。本当に厳しい。相手が誰であっても、絶対に妥協を許さないプロフェッショナルを絵に描いたような方なんです。

どこのお教室も初心者の多い大人のクラスでは「趣味程度に体を何となくバレエっぽく動かせば良い」という教え方の先生が多いです。事実、大人から頑張ったってプロのダンサーになれるわけでも、大人の教え子がコンクールに出られるわけでも、その先生の何かの実績になるわけでもありません。
それなのに、涌井先生は違います。
初心者レベルの生徒にですら本気で向き合ってくる熱血先生なのです。体も固く、バレエもしたことのないお話にならない私に、涌井先生は真っ向から向き合い、本気で上達させようと指導してくださいました。先生の口癖は「大人だって体は変わるのよ」「大人だってバレリーナになれるのよ」。
私は昔から愛のある厳しい教え方が割と好きです。そんな私の性格と涌井先生の容赦ない本気の愛情がぴったりマッチし、私はバレエに・・・というか、涌井先生にどんどんはまっていきました(笑)。週1回通っていたバレエが、2回になり、3回になり・・・。しまいには、週6回通うようになりました!(笑)仕事が休みの日は、2レッスン受けることも。あまりに熱心にバレエに打ち込むものですから、当時周囲の人に「あなたは一体何を目指しているんだ!(笑)」とよくからかわれていたものです。

若かりし頃の涌井先生と私

レッスン後、涌井先生と

これってね・・・

「何を目指している」とかではないんです。完全にワクイ中毒なんです(笑)。
当時、私の他にも大人のクラスにはワクイ中毒者(涌井三枝子熱烈ファン)は大勢いました。そんな仲間達と沢山の発表会を経験させてもらい、ひたすらバレエに打ち込んだ時期があったのです。残念ながらパリ留学後、主人の転勤で関東に引っ越すことになり、それ以来ワクイバレエ教室には通えなくなりました。横浜に来てからもいくつかバレエ教室に行ってはみましたが、涌井先生のように私をしびれさせてくれる先生にはお会いできず(笑)、新しい生活が忙しくなったのも相まって、そのままバレエを辞めてしまいました。

ワクイバレエ発表会

ワクイバレエ発表会

あれから、10数年。。。

毎年出していた年賀状も2年前にPCの住所録を消してしまい先生の住所がわからなくなってしまっていましたので、出せずにいました。それが、今年になってバレエ教室で仲良くしてくれていたりえちゃんが、お菓子教室に来てくれるようになり、久しぶりに涌井先生のお話を聞いたのです。大好きな涌井先生、懐かしくて猛烈にお会いしたくなりました。そして教室サイトが公開になったことを先生にお知らせしようと、先日事務局を担当されているご子息健一さんにメールを送ってみたのです。すると健一さんはすぐにお返事をくださり「もちろん覚えていますよ!」と。たくさんの生徒さんをお持ちの先生のことです、きっと私のことなんて覚えていないでしょう、そう思っていました。だって、10数年前の大人クラスの単なるしがない一生徒ですよ。

なのに、昨日の電話。

私のことを覚えていてくださったのです。
「ゆみちゃん、よくメールくれたね〜。ありがとね、嬉しかったよ〜」
聞き覚えのある元気で明るくて可愛い声で先生はそう言ってくれました。
キャーーーー!!!、先生〜〜〜!!!、とんでもないです。嬉しいのは私の方なんです。
正直嬉し過ぎて涙が出ました。

涌井先生

涌井先生

私は涌井先生が大好きです。初めてお会いした時から、10数年経った今もなお。
かつて教え子のタカラジェンヌさんが出られる宝塚の舞台に一緒に連れて行っていただいたり、私のパリ留学を心から喜び応援してくださったり、本当に可愛がっていただきました。涌井先生は私のバレエの先生ですが、先生から教えていただいたのはバレエだけではありません。あの情熱の数年間で涌井先生には人間としてたくさんのことを教わりました。ヘタクソな私が上手な方達の後ろに隠れ、ひたすら必死に頑張り続けた日々。涌井先生は地味でも努力している人間を決して見逃しません。頑張っている人にこそ厳しくなり、上達させようと本気度が増します。その厳しさから計り知れない愛情を感じ、益々努力を続けるようになったのです。私は涌井先生から身を以て教えていただきました。

「一生懸命頑張っていれば、誰かが必ずその姿を見ていてくれる」

そして日々のレッスンを通じて生きていく上で大切なことをたくさん教えていただいたのです。もはや涌井先生は私にとって、単なる習い事の先生ではないのです。バレエの大先生であり、人生の大先輩であり、女性として憧れの人であり、人間として尊敬する人なのです。あの時期学んだ貴重なことは、今現在生きていく上で私の基盤となっています。これからはあの時培った「ワクイ魂」を胸に(笑)、お教室を頑張っていきたいと思っています。涌井先生と仲間達とのかけがえのない出会いに心から感謝しつつ。

涌井先生のバレエレッスンを通じて感じ取った『生きていく上で大切にするべきこと』
1、情熱を持って、まっすぐひたむきに生きること。
1、地道な努力を怠らないこと。
1、一つことを真摯に継続すること。
1、自分の生きる道を誇りに思い、愛すること。
1、上手くいかなくても頑張っていることを恥と思わないこと。
1、一生懸命な人をバカにしないこと。
1、苦しい努力を楽しいと感じること。
1、本気の相手には本気で向き合うこと。
1、人と比べず、ただひたすらに前と上を向いて生きること。
1、きちんと頭で考え行動すること。

涌井先生、大大大好きです!
先生と健一さんにお菓子を持って必ずお会いしに行きますからね〜。

涌井先生と私

涌井先生と留学帰国直後の私

バレエに興味のある方、是非一度レッスンに行ってみてくださいね。
ワクイバレエ団公式ページ
http://www.arp-w.com/wakuiballet.htm
———————————————————————————————————————————————-お菓子教室 Ledru-Rollin(ルドリュ ロラン)での体験レッスンはこちらへどうぞ


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