ル・コルドン・ブルーの思い出「上級クラス」

2016年。
中級を修了してちょうど1年後。「せっかくここまで来たのだから最後まで頑張って卒業しよう!」そんな気持ちが日に日に強くなり、上級へ進むことを決めました。またしても新たなクラスへの途中参加です。上級クラスはデモと実習のクラスがちょっと違いました。デモは中級同様、日本人と外国人留学生との合同クラス。そして実習は日本人だけのクラスでした。1年前に比べ外国人留学生がとても多く、20数名いました。日本人の生徒は私を含めて5名だけ。デモは30名近い大所帯の賑やかなクラスでしたが、実習はたった5人のこじんまりとしたクラスでした。

コルドン上級集合写真(デモのクラス)

上級クラス集合写真(デモのクラス)

上級の担任の先生は、2015年4月に着任されたフランス人のジャン=フランソワ・ファヴィ先生。以前は韓国のコルドンブルーにいらっしゃった先生です。この先生との出会いにより、お菓子作りの楽しさ、そしてフランス人のセンスの良さを再認識することになります。上級はひたすらチョコレートの日々。そして、最終試験に向けての準備です。全体の2/3がジャン先生のデモで、1/3は雄二先生でした。大好きな大好きなチョコレートを、大好きなお二人に教えていただけるこの幸せ(笑)。私の拙い言葉できちんと伝わっていますでしょうか?(笑)この上級の1ヶ月は本当に毎日楽しかった。何より楽しかったのはボンボンショコラやピエスモンテのチョコレートの細工の日。慣れないことばかりで下手ではありますが、一つ一つできるようになることが増えていき、失敗しても楽しくて仕方ないのです。1ヶ月あっという間に時間が過ぎ、楽しく上達させていただけたのは、ジャン先生のお陰というのが本当に大きかったと思います。

ピエスモンテ作成中

ピエスモンテ作成中

ジャン先生の魅力はまずはその柔らかく優しく品の良いお人柄。ある日、ちょっとしたミスがあったジャン先生。外国人留学生達は先生を冷やかすように盛り上げました。その時に言われた先生の言葉。「これは『失敗』ではなく、『経験』と言ってくださいね♫(笑)」。クラス全員がお茶目に言う先生の言葉に大爆笑していましたが、私は笑うのではなく感動していました。このセリフ、生きていく上で全てのことに通ずることだと思いませんか?『失敗』と捉えると、落ち込み、焦り、その先が怖くなることもあります。でもそれも一つの『経験』と捉えることにより、先に進もうとする勇気と元気が湧いてきます。先生の柔らかいその考え方は、私達生徒に対しても同じでした。私が何か失敗をすると、ジャン先生は決まってこう言われます。「大丈夫大丈夫、練習だから!」と。そして正解を丁寧に教えてくださるのです。つまり先生は「失敗を恐れないで、どんどん経験しなさい」と言ってくれていたのです。結局何かを習得しようとする時、ジャン先生のような温かく優しい対応こそが、与える柔らかい空気感こそが、私達生徒を伸ばしていく上で一番大事なことなのではないか、と私は思いました。

おちゃめなジャン先生

おちゃめなジャン先生

パリ留学リッツ時代、私は学校に通うのが楽しくて楽しくて仕方ありませんでした。あの頃はお菓子作りに対する不安も疑問も緊張も何もなく、ただただ楽しい毎日でした。ですが人は本気で志を持って決めた道を進む時、真剣だからこそ緊張し、時には焦りや恐怖や疑問も湧いてくるものです。きっとどんな道でもどんな人でもそうなんだと思います。少しずつそんな気持ちを感じ始めていたそんな時、ジャン先生にお会いすることができました。ただただ楽しかったあの頃を彷彿とさせるような柔らかい雰囲気を作り上げ、生徒を大きく包み込み、優しく楽しい授業を進めていかれるジャン先生を大好きになるのには全く時間はかかりませんでした。私だけではなくクラス全員がジャン先生のことが大好きだったというもの、ごく当然のことです。

今回途中からの参加ということもあり、初めてペアの相手がいませんでした。ほとんどが一人での作業です。相手との息を合わせる必要はありませんが、通常二人でする作業を一人でしなければいけないのです。これはこれでボリュームがあって忙しい。できる限り一人で頑張ろう!と思ってはいましたが、これがなかなか。。。単純に二人分といっても、二つのパーツを手分けしてするところを二つとも一人で作り、洗い物も単純に2倍。どうやったって時間は足りなく、遅れをとってしまいます。ジャン先生が実習監督の時は、「困ったことや手伝って欲しいことがあったら何でも言いなさいね。僕が君のアシスタントになるよ(笑)」と冗談交じりに優しく声を掛けてくださいました。なんてなんてジェントルマンなんでしょう。そうやって声を掛けてもらえるだけで、心強くなったりするのです。結局、通訳のみきさんにお手伝いしていただいたり、どうしても無理そうな時には向かいのペアの方に入れていただいて三人で作業をすることもありました。お菓子作りって共同作業で成り立っている部分もたくさんあって、効率よく進めるためには何でもかんでも一人ですれば良いってものでもないんですよね。それを今回ペアがいないことにより、改めて学んだ気がします。

上級実習クラス

上級実習クラス

上級で一番楽しかったのは、ボンボンショコラやチョコレート細工のチョコレート作り。特に好きだったのは『ピエスモンテ』。大量のチョコレートをテンパリングして、パーツを作り、組み立てていきます。もはやお菓子作りではないような気がしますが、全ての工程が楽しくて仕方ありませんでした。一方で一番辛かったのは、飴細工。細工に慣れていないというものありますが、何が一番辛いかというと、とにかく熱い・・・(笑)。オーブンや生地で熱いものには慣れていると思っていましたが、飴の温度はシャレになりません。飴は熱いうちに練る事で美しいツヤを出す事ができるのです。「熱い、熱い!」と言いながら頑張るしかないのです。実習後、指先にたくさんの水ぶくれができていました。私って結構やわだったのね・・・(笑)。私が飴細工を上達するにはかなりの時間がかかりそうです。。。ジャン先生も雄二先生もチョコレート細工だけでなく、この飴細工が本当に素晴らしいんです。先生達ってできないことが何もない。『お菓子屋さん』って本当に凄い!!心から尊敬します。私もいつの日かそうなりたい!!チョコレート細工も飴細工もこれから地道に頑張りたいと思います。

雄二先生の素敵な飴細工

雄二先生の素敵な飴細工

そしてジャン先生。先生にはそのお人柄に加え素晴らしいところがもう一つ。それは、先生のセンスの良さと色使いの美しさです。人の持つデコレーションの趣味はある意味主観的なものであって、好き嫌いでの判断しかできません。そういった意味でジャン先生のセンスは、私の好みとバッチリ合いました。派手ではないが美しく、大きなアピールはしていないけれど心に残る優しい雰囲気。どのケーキにも共通しているのが限りない『品の良さ』。私はこのジャン先生のもつ『品の良い世界観』が大好きでした。先生の作られるお菓子は、とにかく『品が良く』『優しく』『エレガント』なものばかり。そして色使いが最高に素敵なんです。

ジャン先生の色使い大好きでした

ジャン先生の色使い大好きでした

かつてヴァンクリーフ&アーペルに勤めていた頃、店頭では見ることのできない億単位のハイジュエリーをたくさん目にし、触ってきました。そのジュエリーやイベントを作り上げるのは本国のフランス人ディレクターでした。彼が紡ぎ出す世界もまた素晴らしく、その色使いは日本人では叶わないと思ったものです。その時の感覚を思い出しました。人は生まれ育った環境で美意識が形成されていきます。フランスという美しい街並みで生まれ育った方達には、私たち日本人が真似できない美的センスとういうものが兼ね備わっていると私は思っています。(もちろんフランス国民全員がそうだとは言いませんが・・・(笑))。ジャン先生もしかり。同じピンクでも、同じグリーンでも、同じオレンジでも、先生が到達される色には品があり優しさがあるのです。このジャン先生の色使いやセンス、そして世界観を上級の期間でしっかりと学びたい、そう思って過ごしていました。最終試験のデコレーション、「ジャン先生ならどうするだろうか・・・」、実はそう考えながら構想を練りました。私にとって本当に大切な出会い、そして今回もまた学ぶことの多い貴重な1ヶ月となりました。

最終試験後、みんなで

最終試験後、実習クラスのみんなで

最終試験後、ジャン先生と雄二先生と

最終試験後、ジャン先生と雄二先生と

優しく温かく包み込んでくださるジャン先生の愛情に、心から感謝の気持ちでいっぱいです。
ジャン先生、本当にありがとうございました。

修了式 ジャン先生と

修了式 ジャン先生と

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