フランス菓子との出会い

大学卒業後、私は広告代理店に勤めました。大企業ではありませんでしたから、たくさんの様々な経験をさせていただきました。入社後の配属先は、なんと営業部。制作部を希望していた私には全く希望していなかった部署でした。ですから、まあそれはそれは大変な毎日でした。「どうして私が営業に」「私に出来るわけがない」「もう辞めたい」と毎日泣きながら思う一方で、「もう社会人なんだから自分で生活しないと」「逃げ出したくはない」「結果を出さずに辞めることはできない」「人よりできないなら何倍も何十倍も頑張らなくちゃ」と、自分へのプライドと根っからのど根性だけで仕事に向かっていました。うふふふ・・・、我ながら可愛い(笑)、若いですね〜😁。

苦手なことに立ち向かう毎日。「泣いてても仕方ない。私しかできないこと。決まり切った方法ではなくて、人がやっていない細やかなところまで気を配ってみよう」と動いたその結果、少しずつ結果もついてきて、気づけば物凄い忙しい毎日を送っていました。とにかく仕事以外の時間は疲れ切って家で寝てる・・・。最初の1〜2年間はそんな感じだった気がします。

入社3年目、確実にバリバリと仕事への道へまっしぐらに進んでいた頃。ある時ふと思ったのです。「このままでは私、仕事しかない人間になってしまう」。仕事に熱中できることは素晴らしいことだと今となっては思うのですが、当時特に営業職でキャリアウーマンを目指してたわけでもありませんでしたから、「仕事を取ると何にも残らない女性」・・・それは何となく私の理想像からは遠くかけ離れていたのです。つまり100%仕事だけの毎日を過ごしている自分に対して、ある意味焦りにも近い感情が芽生えてきていました。「何か趣味を探さなくては!」と思い、当時興味のあった宝塚やミュージカルにはまり、海外旅行にたくさん出掛けるようになり、定期的にお菓子教室に通うことにしたのです。

定期的に何かを習おうと思った時、私は迷わず「お菓子教室」を選んでいました。思い返えせば中学生の時に初めて一人でクッキーを作り、高校生の時にはお菓子百科事典のような分厚いレシピ本を買ってもらって本を見ながら「チーズケーキ」や「アップルパイ」「チョコレートケーキ」なんかを一生懸命作っていました。自分が食べることよりも、母や弟が「美味しい」「美味しい」と言って喜んで食べてくれること、私の作ったお菓子が一番美味しいと言って「また作って欲しい」と言ってもらえること、例えお世辞であったとしても、笑顔でそう言ってもらえることがとっても嬉しくて、せっせと作っていたように思います。だからでしょうか、何かを習いに行くと決めた時、私の中でお菓子教室以外別の選択肢は全くありませんでした。

初めて買ってもらったお菓子の本。懐かしい〜♬ 嬉しくて仕方がなかったのを今でも覚えています。

ところが、当時は今のようにどのお教室もホームページやブログを持っているということもなく、インターネットでの情報が豊富ではありませんでした。お菓子教室一つ探すのも大変なことだったのです。何でも基礎からきちんと学びたい派である私は、きちんと作らせてくれて、きちんと教えてくれる出来るだけ本格的なお教室に通いたいと思っていました。情報源は多くありません。電話帳を開いてみたり、当時の習い事情報誌「ケイコとマナブ」を開いてみたりして、あーでもないこーでもない。そして思いついたのが、プロ用に不定期で発行されている製菓雑誌。その雑誌の一番後ろのページに全国のお菓子教室一覧が掲載されているのです。写真も紹介文もなく、ただ教室名と住所と電話番号の一覧が載っているだけ。それだけ見てもどんな教室かはわかりません。が、「プロが読む雑誌に載せるお教室なんだから、きっと本格的なところに違いない!」と、その雑誌の情報を信じて、家から通える範囲のお教室を探しました。神戸はたったの2つだけ。選択肢がたったの2つしかないのですから、別に最終決定するのも大変じゃありませんよね(笑)。情報が溢れかえっている今の時代からは考えられないことです。そして、私は最寄りが阪急六甲駅の「広実香織お菓子教室・コンヴェルサシオン」を選びました。

阪急六甲駅

初めて行くお菓子教室。ドキドキしながらインターフォンを押したの今でも覚えています。マンションの1階がアトリエだったその教室。ドアを開けると何だか日本じゃないみたい。シンプルでナチュラルなテイストの素敵な空間がそこにはありました。雑誌でしか見たことないようなオシャレな道具や小物。かわいいウッドテーブルに真っ白なカップ&ソーサーとお店のようなティーポット、持ち手部分が木でできたカトラリー。世間をあまり知らない若かりし私にとってはどれも眩しくて仕方ありませんでした。先生もプロっぽい白いエプロンに白のバンダナ(三角巾?)をつけて、見た目にも何だかプロっぽい。聞くと先生は、パリの『エコール・リッツエスコフィエ』でフランス菓子を本格的に学んで来られた方。どうりで!センスの良いその空間!

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ティータイムはこのお皿達でいただいていました。

当時パリどころか、海外旅行にもあまり行ったことのなかった私。「きっとこれはパリの雰囲気、フランスのイメージそのものなんだわ〜〜〜😍」と、勝手に興奮して心ときめいていたのを今でも覚えています(笑)。そして迷うことなく、すぐにその場でそのお菓子教室に通うことを決めたのです。特にフランス菓子が良いと思って探していたわけではありませんでしたが、広実先生との出会いが私のフランス菓子人生の始まりだったのです。懐かしい〜っ♬

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可愛いマグネットでいっぱいの先生の冷蔵庫。私もマグネットが大好きにり、真似して集めてます💖

先生がレッスンの合間にしてくださるパリでのお話、フランス旅行のお話、お菓子のお話などなど。夢見る夢子の私が心ときめかないはずがありません(笑)。それから3年間、全過程を修了するまで一度も休むことなく通いました。それまでフランスに全く関係ない人生を過ごしていた私でしたが、広実先生のお陰で「フランス菓子」に出会い、「フランス」が大好きになり、「お菓子」が大好きになり、私のその後の進む道が決まっていったのですね。。。人との出会いって、本当に不思議です。

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先生に習ったレシピ。ぎっしり書き込みしています。今でも大切な宝物♬

それからたくさんのお教室や学校に通いましたが、私が教室を始めようと思った時、一番最初に思い浮かんだのがやっぱり広実先生のお教室でした。先生のように人をときめかすことの出来るお教室を作りたい、そう思って色んなことを決めていきました。そして、その気持ちは今でも変わりません。私のお教室のベースが広実先生のお教室にある、と言っても過言ではありません。ちなみに、パリに留学すると決めた時の学校選びでも、『憧れの広実先生と同じエコール・リッツエスコフィエしかない!』と、最初からずっとブレずに決めておりました☺️。

過去の大切な出会いに、私の幸せなフランス菓子人生の始まりに、心から感謝の気持ちでいっぱいです♬

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